喜ぶ顔を想像しながら、アイデアをカタチに
農具の熊手に装飾を施して作物の実りや商売の成功を願い、福をかき集めるようにと作られたのが熊手の始まりと言われています。今では装飾がどんどん豪華になり、大きくなればなるほどたくさんの部品が着けられ人気も高くなります。
「面亀の熊手についている面や木彫り、小判などの部品はすべてオリジナル。型から作っているので、同じように見えても同じ部品はどこでも使われていません。こうして作った部品を使ってどんな装飾にするか、それこそが熊手の価値を生み出すのです。
例えば、今年の新作・虎の熊手は来年の干支がモチーフですが、それだけでは面白くない。見た時に誰もが「あ、この虎タイガースじゃん!」と笑ってくれる、タイガースファンの人が見たら「あ、これがいい!」と喜んでくれる、そんなシーンを想像して作る。これが私たちの基本です。縁起物としての価値や豪華さはそのままに、買い手にとっていかに特別なものになれるか。そのための努力こそが、熊手生産日本一と言われる面亀の凄さだと思います。」
熱心に話を聞かせてくれた朝倉社長。話はつきません。
人を繋げ、地元を元気に
私たちは、地元生産者さんたちを繋げ、生産者さんの思いを伝えながら加工・流通を広げていき、最終的に「地元のものって美味しいね!」と消費者さんに感じてもらいたいと考えています。それが地域の活性化につながり、「地産地消」であると思っています。
所沢牛はもちろんですが、所沢市には美味しいものがたくさんあります。その美味しいものを地元の皆さんに是非、もっともっと食べてもらいたいですね。
“苦しい時でも考え方次第で乗り越えられる”との思いを込めた頓智の達人・一休さん
男性3人がかりでやっと動かせるほど大きなものも
ひとつひとつ、スタッフが心をこめて手作りしています。
1年に1度しか会えないからこそ記憶に残る。お客様にとって唯一無二の熊手を
特別な熊手を作るための努力。その一つとして朝倉社長が挙げたのが記憶。「私たちはいつも市でのお客様との会話や顔、名前をしっかり記憶しているんですよ。その時の会話の内容が 〝こんな熊手があったら、あの人喜ぶかな?〟とアイデアの基になって、新たな熊手ができていく。実際、その方が翌年に来られて並んでいる熊手の中からその熊手を選んでくれた時の、「やったー!」という感覚は、本当に格別です。他にも、車が好きだと言っていたお客様が選んだ熊手に用意しておいた車をかたどった部品をプラスしてお渡ししたこともありました。面亀の熊手を選んでくださったお客様に、少しでもここで買ってよかったと思ってもらいたい。お会いできるのも1年に1度ですからね。短い会話だからこそ記憶に残るお客様の好みや背景を、再会の喜びにつなげていきたいと思っています。」
怖がられることが多い般若もある人には神様。お客様との会話から生まれた熊手のひとつ。
面亀の名札。市の日は昨年のお客様の名札を予め用意しておくそう。これも記憶の成せる技。スゴイ!!
熊手をお渡しする際に仕上げで差し込む稲穂。自社の田んぼで育て、刈り取り1本ずつ作っています。
伝統を絶やさないためのきめ細やかなサービスも
「福をかき集めて幸せになれるようにと願いを込めて手に取り、悪事が起きないように身代わりとなり守ってくれたことに感謝し手放す。1年でその役目を終える熊手ですが、お焚き上げには後ろの手の部分のみを収め、装飾に使われている部品は分解して手元に残しておくことができます。そのため、面亀では職人が丁寧に部品を外し、キレイに磨いてお戻しすることもしています。願いを込めた熊手の部品に、その時々の思い出を重ねて、大切に残していただけると嬉しいですよね。」
守るべき伝統に新しい時代の風を吹き込み、伝承し続ける使命をしっかりと受け止めている朝倉社長。
「年々この仕事の面白さが分かってきました。作りっぱなし、売りっぱなしではつまらない。これからも大きな福に驚きと喜びを加えて、面亀ならではの熊手を作っていきたいですね。」
現場はお正月飾り作りに。今年の新作ところんのだるまも登場!
2022年は1月1日0時より所澤神明社の熊手市、12日 青梅住吉神社のだるま市にて面亀さんの熊手が見られます。ぜひ一度、実物を見てみてはいかがでしょうか。
株式会社面亀
所沢市北野新町2丁目4-18
℡04-2947-1611