今回取材を受けてくださったのは、川越市の大正浪漫通りにあるスガ人形店代表取締役 須賀 栄治 さん。
この時期ならではのお正月飾りについて詳しくお話を伺いました!
【羽子板】
昔の人々は、羽根突きの羽根の飛ぶ姿が、病気を媒介する蚊などの害虫を食べてくれるトンボに似ていることから、羽根をトンボに見立て、子どもが蚊に刺されないという厄除けのまじないとして、正月に羽根突きを行っていました。
羽根付きの羽根の玉は「無患子(むくろじ)」と書き、「子供が患わない」ようにとの意味があります。
そのため、魔を跳ね除ける意味を持たせるために必ず羽子板と羽根はセットで飾られています。
江戸時代には羽根突きの板に、現在の原型ともいえる歌舞伎役者の舞台姿を取り付けた、飾り羽子板が登場。
その影響から当時の物は傘や鼓を持っていましたが、近年では扇や花を持つようになっています。
昔は出来るだけ薄く作るのが主流でしたが、現在は立体的に、毎年少しずつ流行の波に乗りながら約30年サイクル大規模な改良されているのだとか。
昭和以降は美人画が増えた影響もあり衣装も益々華やかになっていきました。
また、ケース入りの羽子板が登場し、女児の初正月の飾り物として広く用いられるようになりました。
【破魔弓】
元々は中国に昔から言い伝えられている鍾馗(しょうき)とうい武神が、5月の端午の節句の頃に弓で悪霊を祓うという言い伝えが日本にも伝わり、暮れ~お正月にかけて弓の音で邪気を祓う儀式になったといわれています。
宮中でも行われる鳴弦の儀(弓に矢をつがえず、弦を引き音を鳴らすことで魔除けの意味を持つ儀式)、空穂(うつぼ )という夜戦に備えた傘を被った矢の入れ物や、昔のヒーローのイメージから刀や武器を破魔矢と一緒に並べて飾るようになりました。
そうした中でこちらも羽子板と同じように男の子の健やかな成長を祈って初正月のお祝いとして贈られるようになったとのことです。
元々はどちらも「暮れ物」という現代でいうお歳暮として贈るものでしたが、現在は形が変わって赤ちゃんのものとして特化するようになりました。
子どもが無事に成長するようにという人々の想いや願いが込められた儀式から派生したお正月飾り。
生まれたときに贈ることで成長の記念や思い出としてはもちろん、自分が大切に育てられているのだということをお子さまに伝える機会としても喜ばれるものになっています。
須賀さんは、こうした日本国内での活動はもちろん、海外発送や、川越のPRとして現地でのイベントなども行われてきました。
日本での意味合いは大切にしつつも国によって人気の種類が異なったりと地域性が出たりそこから新しい企画に繋がったりー。
異文化交流も通してより幅広く川越の活性化に向けて尽力されています。
【取材協力】
小江戸川越 泰玉スガ人形店
049-222-0334
〒350-0065 埼玉県川越市仲町1-3(大正浪漫夢通り)
11月中旬~5月5日 午前9時30分~午後6時
5月6日~11月中旬 水曜定休